既存の古民家をベースにしてリフォームを行う古民家再生についてまとめました。古材の風合いを大切にしながら現代的な住環境を叶えられる古民家再生を検討されている方は、ぜひプランニングの参考にしてください。
古民家再生とは、一般的に老朽化した古民家をベースとして、リフォームやリノベーションを行う物件の活用法を意味している言葉です。古民家再生では長年の歴史を感じさせる古材の風合いや雰囲気を活かしつつ、現代的な住環境や住宅設備を取り入れた物件へ生まれ変わらせることができるため、単なる新築住宅などでは叶えることのできない独自のテーマ性を備えた物件を誕生させられる点が魅力です。
その反面、古民家から再利用できる古材を見極めたり、古民家再生ならではの魅力を活かすためのノウハウが必要だったりと、実際の古民家再生では専門的な知識や経験が重要になります。
古民家再生といっても「機能面だけを再生する方法」「内装も再生する方法」「全体的に再生する方法」の3つがあります。それぞれの特徴について見ていきましょう。
文字通りが持つ本来の魅力を残しつつ劣化した設備だけを修復しながら住みやすくリフォームする再生方法。そのため、柱・梁などの建物自体の構造には手を加えない方法がほとんどです。
水回りの配管・床・内装などの機能面だけをリフォームすることによって、古き良き時代と現代生活の快適性を取り入れた使い勝手のいい空間づくりを目指せます。
しかし、現代風の外壁を採用する・あらゆる設備を最新のものに変えると古民家の魅力が失われてしまいます。そのためバランスを考えながら再生プランを立てることが重要です。快適に暮らすためにも寒さ対策・水回りの工事などを優先することで、古民家の良さを残しつつ古民家再生が行えるでしょう。
次に内装自体を再生する方法です。これは古民家の内部構造を半解体し、劣化が進んでいる部分を取り除き、新たに作り直していくリフォーム方法す。柱・梁のズレを修繕する・床材を撤去する・平屋に作り直すなどの工事を行うことが多く、建物自体の劣化が進んでいる古民家のケースの場合はこの方法が検討されるでしょう。
機能面だけではないため、大規模な工事が必要になります。土台自体の傷みがあれば建物を壊し、土台全体をコンクリート基礎に変更する必要もあります。
古民家を全て解体し、再度補強しながら建てていく方法となります。建物の構造材を新しいものに変更する・洗って再利用するなど行い、地震などにも耐えられるよう補強しながら建築するのです。強度を高めることによって、寿命を長くできるなどのメリットがあります。
ただ古民家を解体しリフォームする場合には、耐震基準をクリアできなければ建築許可が下りないため注意してください。とくに古民家の場合は古い素材が多く使われているので、耐震基準を確認しながら施工してもらいましょう。また大規模な工事なので、コスト面も高くなってしまいます。そのため事前医にコスト面を確認することも大切です。
古民家再生では、どの程度の工事を行うのか、再生の規模や作業部位によって費用は大きく異なります。また、業者によっても見積もり額に差が生じるため、実際の古民家再生の費用はケースバイケースになるのが前提です。
基礎部分の補強を行ったり、水周りの交換工事、あるいは耐震性を高める工事を行ったりしなければならず、一般的には1千万~2千万円程度の費用がかかると想定されます。なお部分的なリフォームなどにとどまるのであれば、費用は数百万円台に抑えられることもあるでしょう。
古民家再生ではどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは一般的な観点からメリットとして考えられるポイントをご紹介します。
現在でも住宅として現存している古民家の場合、梁や柱の材料として丈夫なヒノキやケヤキといった樹木が使われていることも少なくありません。また、これらの木材には樹齢100年を超えた木々が利用されているケースもあり、一般的な新築住宅を建てる際に利用される新建材と比較して優れた強度を誇っています。
古民家再生では、このような古材や木材が最初から用意されているようなものであり、それらを利用して設計を考えられることはメリットです。
現代の新建材は機能性に優れている反面、様々な化学物質を含んでいることも多く、住む人によっては化学物質過敏症やシックハウス症候群といった病気リスクを高める可能性があります。
その点、古民家再生であれば利用する資材は天然由来の木材であり、健康的な住宅を叶えられるベースとして魅力的です。また、新しく木々を伐採する必要も最小限に抑えられるため、地球環境にも配慮した持続可能な住宅といえるでしょう。
古民家再生のメリットであり魅力のひとつが、古材や古民家としての風合いを活かしながら、現代的な住環境や住宅設備を導入することで、新しい価値を生み出せるという点です。
長い時間の経過によってのみ得られる古材の雰囲気や魅力を最大限に追求しつつ、リフォームやリノベーションの設計プランを考えられます。また、生活に必要となる部分や安全面を重視したい部分については現代的な建築技術や技法を採用できるため、住む人の暮らしやすさにも配慮できます。
古き良き日本の伝統的な住宅スタイルをベースとしつつ、快適なライフスタイルも維持したいという、欲張りな願いを叶えられるのが古民家再生のメリットでしょう。
固定資産税は物件の評価額に税率を乗算して算出されます。なお、税率は自治体によって決められますが、一般的には標準税率として1.4%が利用されています。
一方で古民家のような木造住宅の場合、築年数に応じて固定資産税が減額される「経年減価補正」という制度があることもポイントです。
築年数の多い古民家をベースにリフォームすることで、固定資産税を抑えたまま住環境を整えられるわけです。ただし建て替えてしまった場合、新築と見なされて経年減価補正を受けられないため注意が必要です。
古民家再生は、古民家の魅力を感じながら生活できる大きなメリットもありますが、少なからずデメリットも存在します。デメリットを知らないまま古民家再生を行うと後悔する可能性もあるため、把握したうえで古民家再生を行うようにしましょう。
まず一番のデメリットと言える点が、断熱性の問題です。現在は優れた断熱性・気密性を誇っている住宅も数多くあり、外気の影響をほとんど受けることなく快適に暮らせる設計になっています。 しかし古民家の場合、通気性を高め、室内を風が吹き込み循環するような設計となっているので断熱性・気密性は低いと言えるでしょう。夏場は涼しさを感じられる可能性もありますが、冬場は室内であっても寒さが堪える可能性もあります。また古民家は天井が高く設計されている場合が多く、暖房の暖かな空気が上部に溜まってしまい、部屋全体が暖かくなりにくい問題もあります。
そのため古民家再生を行う場合は、寒さ対策を検討したほうが良いでしょう。断熱材を採用する・暖房器具に投資するなどを検討してください。たとえば掘りごたつ・薪ストーブなどを導入すれば、古き良き日本の文化を楽しむ生活もできます。
古民家と言われている建物は一般的に耐震基準が制定される前に建築されており、現在の耐震基準をクリアしていない場合がほとんどです。日本は地震が非常に多く、日本の至る所で毎年のように地震が発生しているため、安全に暮らし続けるためにも耐震性能は重要なポイントと言えます。
ただ古民家は基本的に丈夫な構造をしており、大きな地震が発生した時はあえて一部を倒壊させ、建物全体への揺れを吸収する仕組みのものも存在します。そのため必ずしも耐震性能が悪いわけではありません。しかし耐震に欠かせない部分が腐食・劣化しているケースもあるため、耐震性を高めるためのリフォームを検討してください。
まずは古民家事態に詳しい専門家に耐震状態の診断を相談することも大切です。
古民家の状態にもよりますが、住めるようになるまでに長期間要する恐れもあるので注意が必要です。たとえば全て解体し、建て直すとなればその分工期が長くなります。もし住み始めたい時期が明確に決まっているのであれば、そのタイミングまでに工事が完了できるかどうかを確認しておきましょう。
また工期が長引けば長引くほど人件費も割高になってしまいます。コスト面も踏まえて考えておかなければ費用面で後悔するリスクが高まるでしょう。
古民家の場合は、古いものを丁寧にメンテナンスしながら活用していく必要があります。新しいものと比べると、修繕が必要な部分は増えてしまい、時間とともに不具合も多くなるでしょう。そのため、メンテナンスの回数が増え、ランニングコストが高くつく可能性があります。
また火災に弱いという弱点があり、とくに茅葺屋根の古民家であれば全焼のリスクも高まります。火災リスクが高いとして火災保険も通常より割高に設定されており、火災報知器の設置するといった対策費用も発生します。
全国的に空き家や古民家の利活用について注目が集まっており、国や各地方自治体においても空き家の利用や古民家再生に関して補助金・助成金といった制度を用意していることがあります。
ここでは、古民家再生においてどのような部分で補助金・助成金を利用できる可能性があるのか、基本的なポイントをまとめました。
既存住宅をリフォームしてバリアフリー化する際、多くの自治体においてバリアフリー工事に関する補助金や助成金が用意されており、古民家再生においてもそれらを活用が可能です。
再生した古民家に長く暮らしていこうと考えた時、バリアフリー化は住環境を整える上で重要なポイントです。そのため、バリアフリーリフォームに活用できる補助金や助成金はぜひチェックしておきたい内容でしょう。
ただし、自治体によっては工事業者として地元の業者を利用しなければならないといった条件もあり、まずは役場の窓口に問い合わせて条件等を確認してください。
耐震性の向上を目的とした工事やリフォーム作業について、補助金や助成金が用意されていることもあります。
古い工法で建てられている上、経年劣化によって老朽化している部分もある古民家を再生させる場合、耐震性や耐久性を高める工事は重要です。
そのため、耐震リフォームに対して補助金や助成金が用意されている場合は積極的に活用するとよいでしょう。
太陽光発電システムなど再生エネルギーを活用した設備を導入したり、高機能空調設備を導入したりと、省エネ性を高めたプランを採用することで補助金や助成金を活用できることもあります。
ただし、省エネリフォームに関する補助制度や助成制度では、要件として導入可能な設備があらかじめ決められていたり、リフォームを依頼できる工事業者が地元業者に限定されていたりすることも少なくないため、古民家再生を相談する際にしっかりと業者へ相談するようにしてください。
上記の補助金・助成金の他にも、地域の空き家や古民家を利活用する上で様々な助成制度などを用意している自治体は少なくありません。そのため、古民家再生を検討する際には、必ず事前に物件が存在するエリアの役場や業者に確認して、どのような補助制度や助成制度が用意されているのか把握しておきましょう。
古民家再生は古材の魅力や強みを活かしながら、現代的な住環境や住宅機能を備えた物件を叶えられるリフォーム工事・リノベーション工事です。上手くプランニングすることで工事費用や固定資産税を抑えつつ、魅力的な設計・デザインを追求することが可能です。
反面、古民家再生では正しく安全な古材を見極めたり、価値のある古材を傷つけずに解体・再利用したりするために専門的な知識や経験が必要となるので、そもそも依頼できる不動産業者や工務店が限られている点も無視できません。
そのため古民家再生を検討する際は、技術面だけでなくデザイン面や設計面でも信頼できる業者を選び、どのようなコンセプトでプランを考えていくかと話し合うことが大切です。
5,000本以上の古材を常備(※1)
構造計算・調達・施工まで対応
1,600件以上の古建具を掲載(※2)
掘り出し物の古建具に出会える
70件以上の造作材を通販(※3)
オンラインで手軽に購入できる
調査対象:Google検索「古材 販売」でヒットしたすべてのページ(計13P)のうち、公式サイトで古材を販売している旨を確認できた44社(2022年10月11日時点)
【選定条件】
山翠舎…44社のうち、構造用古材の取り扱いがあり、古材建築の設計・施工まで手掛けている業者の中でストック本数最多(5,000本以上/※1)
※1:参照元:株式会社山翠舎|2023年1月の独自調査で確認できた公式サイトの古材ストック本数(https://www.sansui-sha.co.jp/aboutkoboku)
ひでしな商店…44社の中で、古建具の商品掲載数最多(1,667件/※2)
※2:参照元:ひでしな商店|2022年10月11日時点の独自調査で確認できた公式サイトの古建具掲載数(https://hideshina.com/shop/)
リビルディングセンタージャパン…44社の中で、オンライン販売している造作材(板古材)の点数最多(71件/※3)
※3:参照元:ReBuilding Center JAPANオンラインストア|2022年10月11日時点の独自調査で確認できたオンラインショップの造作材(板古材)掲載数(https://stores.jp/search?q=板古材&store=rebuildingcenterjp)