古民家などを解体した際に得られる古材は、資材として再利用(リユース)することで新品の資材では表現が難しい風合いを演出したり、環境負荷を軽減してサステイナブルな社会の実現に貢献したりと色々なメリットを考えられます。
古材とは、古民家や古い建築物などを解体した際に取り出される木材などの古い資材です。
古民家などの解体によって発生する建材や木材の中には、まだ資材として利用価値のあるものも残っているもの。そういった古材をリフォームやリノベーションなどに利用することで現代の新しい建築物でありながら、長い年月によって生み出された風合いや雰囲気を演出に利用できます。また、資材として希少価値の高い古材がある点も重要です。
古い民家や木造建築物には、スギやヒノキといった現代でも使われている木材だけでなく、ケヤキやサクラといった現在では希少とされる木材が使われていることもあります。また、シタンやコクタン、タガヤサンといった銘木(めいぼく)と呼ばれる木材が使用されていることもあるでしょう。そのため古材の再利用ではそういった銘木や希少な木材を、新しい建築物をデザインしたり設計したりする上で活用できるメリットもあります。
古材の再利用や有効活用については国内外で注目が集まっており、古材は国際的に利用価値のある資材として考えられます。
サステイナブルとは「持続可能」という意味の言葉です。限りある資源を大切に利活用しながら未来にまで地球環境を守り受け継いでいくという、現代社会における国際的な取り組みを表す言葉でもあります。
また、国際社会における貧困や格差、環境破壊といった様々な問題の解決を目指し、様々なテーマにもとづいて取り組んでいく目標が「SDGs(持続可能な開発目標)」です。様々な国々や企業が社会的責任の一環としてSDGsの達成実現を支援したり貢献したりすることを重視しています。
古材の再利用は、まさしく限りある資源の有効活用の具体策であり、サステイナブルな社会の達成に向けた取り組みといえるでしょう。
現在、日本国内では所有者の死亡や転居などによって放置されている空き家が増えており、社会的な問題になっています。
一方、空き家の中には古い住宅も多く、それらを解体して古材を取得し、再利用できるようになれば、空き家問題の解消と資材収集の合理化という2つの価値を同時に追求することが可能となります。
サステイナブル社会の実現や空き家問題の解決策といった課題だけでなく、古材の再利用には、建築資材として古材ならではのメリットを検討できることもポイントです。
老朽化や劣化によって品質が低下している古い木材でなく、古材として十分な利用価値を得られる木材は、新しい木材よりも強度面で優れていることがメリットです。
天然の木材は建材として使用された後も、長い時間をかけて徐々に内部の水分を蒸発させて乾燥していきます。そして自然乾燥が進むことにより引っ張り強度や圧縮強度が高まっていくのです。
言い換えれば、古材は新しい木材よりも時間をかけて建材として成長を続けてきた材料だと考えられるでしょう。
時間の経過によって木材の表面の色合いが変化し、また触り心地なども変わるのが木材です。新しい木材や塗装などでは表現できない独特の風合いや深みを感じられることもメリットです。
和風建築や古民家風の住宅建築などにおいて、「古材風」の加工やペイントなどを施した建材が利用されますが、天然の古材ならではの雰囲気や味わいには独特の価値や魅力を感じられるでしょう。
また、建築に古材を再利用しているという事実こそが建物としての魅力の向上やプロモーションへつながることもあります。
古材を再利用する場合、新たに木材を伐採して建材として利用する必要がありません。そのため、森林伐採など環境に負荷をかける工程が必要ありません。
伐採作業や加工作業で生じる二酸化炭素排出量やコストの削減しつつ、サステイナブル社会にも貢献できます。
古材の再利用には様々なメリットがある一方で、少なからずデメリットが考えられます。古材の再利用ではメリットとデメリットを把握した上で、バランスを考えながら利用価値を検討することが大切です。
古材は既製品の木材や資材でなく、あくまでも古民家などを解体する際に取得できる木材です。つまり、均一な品質の資材・建材として十分量を確保することが難しいものになっています。
また、同じ建築物を解体する場合でも、古材が使用されていた場所や部位によって経年変化の特徴や程度が異なっているケースもあり、新品の木材や建材のように統一感を出すことは簡単でありません。
古材は古ければ何でも良いというわけでなく、あくまでも建築物に使用できる木材としての価値を有するものでなければなりません。
そのため、解体によって得られる様々な廃材の中から、改めて古材としての利用価値や再利用に見合った品質を見極められるノウハウが必要です。
また、古材の中には汚れたり破損していたりするものもあり、新しい環境で再利用するために洗浄や修復といった工程が必要になることもあるでしょう。
古材を再利用する方法としては、建材として利用するだけでなく、加工によって家具を作ったりインテリアの一部として組み込んだりといった複数のパターンを考えられます。
新しく建てる住宅の木材として古材を再利用したり、和風テイストのリフォームやリノベーションの工事のために古材の再利用が可能です。
現代建築物としての技術によって実現された住宅でありながら、古材によって伝統的な風合いや歴史的な魅力を付与できるなど、古材を建築資材として再利用することで建築物に付加価値を生み出せるでしょう。
建築資材として十分な量や品質の古材を確保できなくても、得られた古材の一部を加工して家具やインテリアにリメイクするといった利用法もあります。
特に現在では手に入りにくい銘木や希少な木材を加工して家具などを製作することで、市販品や量産品では得られない魅力をインテリアデザインとして取り入れられることは強みです。
なお、建築家やインテリアデザイナーといったプロが利用するだけでなく、個人の日曜大工やDIYの材料としても古材は人気があります。
古材の利用価値を追求して再利用のメリットを得るためには、何よりも「古材」として再利用可能な木材と、単に経年劣化によって古くなった木材との見極める必要があります。
そのため、古材の有効利用にはプロとしての専門的な経験や知識が不可欠。古材を取り扱う業者の中には資材調達から設計や再利用までワンストップでサポートしてくれるプロもいるため、まずは業者の比較検討を十分に行って信頼できる専門家を探していきましょう。
5,000本以上の古材を常備(※1)
構造計算・調達・施工まで対応
1,600件以上の古建具を掲載(※2)
掘り出し物の古建具に出会える
70件以上の造作材を通販(※3)
オンラインで手軽に購入できる
調査対象:Google検索「古材 販売」でヒットしたすべてのページ(計13P)のうち、公式サイトで古材を販売している旨を確認できた44社(2022年10月11日時点)
【選定条件】
山翠舎…44社のうち、構造用古材の取り扱いがあり、古材建築の設計・施工まで手掛けている業者の中でストック本数最多(5,000本以上/※1)
※1:参照元:株式会社山翠舎|2023年1月の独自調査で確認できた公式サイトの古材ストック本数(https://www.sansui-sha.co.jp/aboutkoboku)
ひでしな商店…44社の中で、古建具の商品掲載数最多(1,667件/※2)
※2:参照元:ひでしな商店|2022年10月11日時点の独自調査で確認できた公式サイトの古建具掲載数(https://hideshina.com/shop/)
リビルディングセンタージャパン…44社の中で、オンライン販売している造作材(板古材)の点数最多(71件/※3)
※3:参照元:ReBuilding Center JAPANオンラインストア|2022年10月11日時点の独自調査で確認できたオンラインショップの造作材(板古材)掲載数(https://stores.jp/search?q=板古材&store=rebuildingcenterjp)